帝政期ドイツにおけるトランスナショナルな人的移動とジェンダー秩序に関する研究, Transnationale Mobilitaet und Geschlecht-Ordnung im Deutschen Kaiserreich

研究目的


本共同研究プロジェクトは、帝政期ドイツにおいて国境を越える人々の移動とそれにともなった社会的な実践が、本国社会と植民地・在外ドイツ居留民社会の双方にどのような作用をおよぼしたかについて、史料に基づきながら具体的な事例にそくして分析することを目的としています。この視点は、近年、新たな研究動向としてドイツ歴史学界で注目を浴びているトランスナショナル史の問題提起を積極的に取り入れたものです。

くわえて、本研究プロジェクトでは、ジェンダー史の視点が重視されています。なぜなら政策的な移民であれ、自発的な移民であれ、人の移動は、移民を送り出す社会と受け入れる社会の双方の再生産の問題と密接に関わるものだからです。そして、生身の人間の越境的な移動と、それらの人びとが生きた社会のなかでの様々な実践は、その社会の性規範を規定する権力と不可分の関係にあると考えるからです。


本プロジェクトは、とくに以下の3つの問題群にそくして行われます。
①トランスナショナルな人的移動とその管理システムのあり方、とくにそこでの性規範に基づいた権力のあり方について
②本国社会および植民地・在外居留民社会間の相互作用とそこで追求された社会秩序の内実
③越境的な移動の管理のあり方と同時代の世界秩序との相互関係性


トランスナショナル史の研究にジェンダー史の視点を導入した本研究プロジェクトの成果は、たんに対象とする帝政期ドイツの事例分析にとどまらず、そのほかの地域研究との相互対話を促すものになることが期待されています。


本共同研究プロジェクトは文部科学省科学研究費補助金基盤研究(C)
(研究代表者:日暮美奈子、2012~14年度)の助成を受けています。
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ドイツ史トランスナショナル科研グループ

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